《説教要旨》『恵みの軌跡』 大澤宣 牧師
ヨハネによる福音書14章1-7節
東神戸教会創立71年の時を迎えました。東神戸教会は、それぞれの信仰生活を送っておられた方々が集まり、始められた教会です。お一人お一人が、日本の敗戦後、新しい時代を切り拓く、新しい理念を求めて集まって来られた中から生まれた教会です。
日本の再建の道を進むために必要なものは何か。一つは、みんなの食糧を確保することです。しかし、それだけではなく、みんなで分け合い、支え合って生きることが大切だとされ、共に生きる思想、人のためにささげる心をもつ交わりが必要だと考えられたのです。そのために、「灘購買組合文化部」の活動が始められました。
礼拝がまもられ、日曜学校が行われるようになります。「戦後日本に再臨するキリスト」の絵が掲げられ礼拝堂が建てられます。教会の意義を広く知ってもらうために「ヨハネ学苑」という幼児教育の働きがすすめられました。神戸YMCAのリーダーの方たちも、こどもたちのためのプログラムを担当され、教会の存在が広く知られるようになりました。
「今この戦後の日本にキリストが再び来られたら、どのような生き方を目指されるだろうか」。このことを、一人一人が問われ、心の中に大切に持ちながら、新しい時代に向かっていったのです。
イエスは、「わたしは道であり、真理であり、命である」と語られました。多くの人にとっては、神様はおられないかのように思われるこの世界の現実の中で、すべてのことは神様が働いておられ、神様が見守っておられることを信じて歩んでまいりましたし、これからも歩んで行きたいと思います。
社会学者リーアン・アイスラーさんは、『聖杯と剣』という本の中で、十字のしるしは、生命の誕生と成長、命と生活、健康と幸せをあらわすものだと語りました。それが、人をはりつけにして処刑するしるし、死の象徴とされたのです。それにもかかわらず、イエス・キリストが十字架にかかられた時、再生の象徴、平等と優しさ、憐れみ、平和を生み出すものとなったのです。
主は、喜び、悲しみを通して、私たちを導いてくださいます。新しい方向へと向けてくださいます。私たちの道に神様の業があらわされることを信じてまいりたいと願います。