《信徒奨励要旨》『私に与えられた新しい掟』              白坂 大輔さん

ヨハネによる福音書 13:31〜35

キューブラー・ロスという方は「死ぬ瞬間」という本の中で、死の受容のプロセスは以下の5つの段階があるとしている。
第1段階「否認」
大きな衝撃を受け、自分が死ぬということはないはずだと否認する段階。
第2段階.「怒り」
なぜ自分がこんな目に遭うのか、死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階。
第3段階「取引」
延命への取引の段階。「悪いところはすべて改めるので何とか命だけは助けてほしい」あるいは「もう数ヶ月生かしてくれればどんなことでもする」などと死なずにすむように取引を試みる。
第4段階「抑うつ」
取引が無駄と認識し、運命に対し無力さを感じ、失望し、ひどい抑うつに襲われなにもできなくなる段階。すべてに絶望を感じ、間歇的に「部分的悲嘆」のプロセスへと移容する。
第5段階「受容」
死を受容する最終段階へ入っていく。希望を捨てきれない場合もある。受容段階の後半には、希望とも別れを告げ、安らかに死を受け入れることがある。「デカセクシス(現実世界との完全な断絶を自覚することであり、いわば無への進入に身をまかせること)」とロスが呼んだ状態である。「解説」と日本語に訳されることがあるがしっくりこない。
この状態で最期の言葉を残すことが多い。(例:ゲーテ「もっと光を」、夏目漱石「もう泣いてもいいよ」。
ロス博士は凡人でも周囲の人々の愛と協力があればテカセクシスに容易に到達できるとする。また、愛と協力の本質はコミュニケーションであるとした。