《説教要旨》『御心が行われますように』 大澤宣 牧師
ヨハネによる福音書8:31~35
わたしが学びました同志社大学に明徳館という建物があります。その壁にヨハネ福音書の言葉「真理はあなたたちを自由にする」という言葉が記されています。同志社の創立者新島襄の召天後の建物ですが、ここにも新島襄の志がとどめられているのだと思います。新島襄は、幕末、アメリカにわたり、自由の価値について感銘を受けました。そして、自由というものはキリスト教信仰のもとにあって育てられるものだと考えました。その思いから、同志社を設立し、宣教、教育の働きに尽力したのでした。
しかし、時代の荒波の中で、教育の独立が守れなくなり、若い学生たちを戦場へと送り出さなければならなかったのです。人間の思いによって自由を得ようとするとき、権力に従わざるを得なくなるということもあったのでした。
わたしたちは、独裁的な権力によって支配されているものではありませんが、いろいろな力にしばられているかもしれません。他の人と同じようにしなければならないと思ったりします。他の人をうらやむ心、自分は特別だと思う心、自分の心にもしばられて、自由に生きることができなくなっているかもしれません。その時、「真理はあなたたちを自由にする」という聖書の言葉が、私たちに方向を示してくれるのだと思います。真理がわたしたちを導いてくれることなしには、この世の力にとらえられた状態から自由になることはできないのだと思います。神様によって導かれる歴史の中を、わたしたちが歩んでいくことをゆるされている。そのことを覚える時、本当の喜びが与えられるのです。
横浜、フェリス女学院の校長、ジェニー・カイパーさんという方がおられました。1923年、関東大震災で地上の命を失われた方です。この方の最期の祈りは「御心が行われますように」という祈りでした。
私たちは、幸いな時、悲しみの時、すべての時に、神様がわたしたちのことを知っていてくださることを覚えて、御心が行われますようにと祈るものでありたいと思います。
「日は暗く、空は曇り、わたしの計画がことごとく挫折してしまった時、愛する主よ、わたしにかく言う力をお与えください。御心が行われますようにと。(中略)教えてください、愛する主よ、あなたの備えている道を歩むべきことを。そしてわたしの支えとなってください、日ごと日ごとに御心が行われる道で。」
『御心が行われますように』(作者不詳)