《説教要旨》 『苦難と喜び』 大澤 宣 牧師

ヨハネによる福音書15:18~27

「人に魚を与えると一日で食べてしまう。しかし、人に釣りを教えれば、生涯食べていくことができる」。緊急事態で、とにかく食べ物をもらわなければならない場合もありますが、食べ物を手に入れる仕方を考えることも大切です。人が生きていくとき、どういう工夫をしていくのかで、生き方が変わってくるかもしれません。

マーガレット・シルフという方が書いていた話です。旅人が工事現場を通りかかり、働いている人たちに声をかけました。最初の人は、仕事のきつさに音を上げていました。次の人は、仕事はきついが、収入を得られることに感謝していました。その次の人は、働いていることの目標に向かって、目を輝かせていました。今日は、労働聖日と呼ばれる日です。働くことの意味を大切に受け止め、それぞれがそれぞれの業に召されていることを大切にしたいと思います。働いて報酬を受け取るということもありますが、報酬を求めない働きもあるのだと思います。

「こひつじの苑」というところで過ごしている青年がおられます。体操の時の事故で体の自由を失ってしまった青年は、自分の境遇を呪うばかりでした。しかし、ある時、アフリカの難民の子どもたちの写真を見て、この子どもたちに何かできないだろうかと考えました。それから、車いすのベッドで街頭に出て、募金活動をするようになったのです。自分の人生と難民の子どもの人生を重ね合わせることをしたのです。

イエスの弟子たちは、イエスと深く結び合わされ、愛で結ばれ、友と呼ばれるようになります。その時、イエスを十字架につけようとするこの世の力は、弟子たちにも牙をむいてくるのでした。主が共におられることを信じて祈り続ける時、困難の中にあっても、なお恵みの豊かさを証することができるのだと信じてまいりたいと願います。